わたしのあたまのなかだけの
ただのしあわせなまぼろし。
いいの。
いいのよ。
たぶん、このままで。
落ち着いて過ごせたらいい。
ひとつは、ひととき好きだった人。
なかよく一つ屋根の下で暮らしている。
会ったこともないのに不思議ね。
もひとつは、時々会うけど、
まったく恋愛感情などない人。
こちらはなぜか親密になっているところ。
今度あったら、目をみられないかも?
といえば、うそになるかもしれないけれど。
そこにいることはわかっているから。
存在を感じられるだけでいい。
一人でいるときでよかった。
ひとつになって生きていく。
半分なんかじゃない。
このところ、秋晴れの空ばかり眺めている。
淋しい心も空に飛ばす。
どうやら時差があったようで、
あなたのおはようが私に届かなかった
そんなことですっかり凹んでしまう。
こんな女は嫌だなあ。
彼にはみせられない。
何も言えないまま、
13夜の月をしみじみ見た。
2日前のこと。
月は満ち、やがてかけゆく。
振り子のように今夜も揺れる。
揺れて揺れて、振り子の糸が切れたらいいのに。
月は地球に恋してる。
なのにぐるぐる地球の周りをまわるだけ。
あこがれてても
いつまでたっても
月は地球に届かない。
おやすみなさい、とあなたに告げて、
あなたのおやすみを聞いてから眠るのは
ふわふわとここちよい
オニオンスープの海に浮かんだ
うすっぺらのバゲットのひときれ
考えまいと
いくら頭から追い出そうと
彼の存在がしみこんでくる
すきまだらけだから、わたしが
変わらないものはない
変わらないことがいいわけではない
行く川の流れのように
宇宙が膨張を続けるように
人の心も
なのに
この胸の苦しさはなんだろう
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